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研究内容

ナノフォトニクス~人工構造を用いた光物性~

近年の微細加工技術の進歩により、光の波長(数百ナノ)スケールの構造体の作製が可能になってきました。 そのような微細な構造を人工的に作りこむことにより、光を自在に制御しよう、というのがナノフォトニクスと呼ばれる研究領域です。 中でも、物性物理(固体物理)のアイデアを取り入れることによって発展してきた、フォトニック結晶やメタマテリアルと呼ばれる構造を中心に研究を行っています。 このような研究は、レンズやミラーなどの光学素子の高性能化や新機能の付与に貢献するだけでなく、光通信や光コンピューティングといった技術への貢献も期待されています。

メタマテリアル

メタマテリアルとは、「自然界にはありえないような特性を示す光材料」のことを言います。そもそも「メタマテリアル」という言葉は、 「メタ」と「マテリアル」が合わさった造語です。「メタ」は英語で言うところの「beyond」に相当する言葉で「~を超えた」というような意味をもちます。 つまり「メタマテリアル」とは、直訳すると「物質を超えた物質」となります。 当研究室では、特に目に見える光(可視光)に対して不思議なふるまいを示すようなメタマテリアル、「光メタマテリアル」に興味を持って研究をしています。 可視光で動作するメタマテリアルによって、 究極的には「透明マント」や「超解像レンズ」などの社会的インパクトの大きいアプリケーションが実現できると言われています。
画像元URL https://www.aph.kit.edu/wegener/english/264.php

プラズモニクス

プラズモニクスとは、「プラズモン」と呼ばれる特別な光を用いた研究分野のことです。 プラズモンは、金属の表面に光を当てたときに現れる特殊な光の状態のことで、普段私たちが目にする光とはまったく違う性質をもっています。 もっとも身近な例としては、ステンドグラスの色があります。実は、この色も金属のナノ粒子におけるプラズモンによって現れています。 プラズモンの性質を巧みに利用することで、光の色を変えたり、光を非常に小さな領域に閉じ込めたりすることができます。 光メタマテリアルでも、このプラズモンをうまくデザインすることで、様々な機能を実現することができます。
※ここではプラズモンを「光」として紹介しましたが、実は正確ではありません。 もっと詳しく知りたい方は、ネットで検索するとわかりやすいページがたくさんでてくるので調べてみてください。
例えば↓のページはとてもわかりやすいです。
浜松ホトニクスの基礎研究のページ

微細加工技術(マイクロマシニング)

光メタマテリアルは、ナノメートルという非常に小さなサイズの構造を作り込むことによって、実現できるのですが これがなかなか簡単ではありません。しかし、現代では、様々な最新のテクノロジーによって、少しずつそのような構造の形成が可能になってきています。 代表的なものには「フォトリソグラフィ」「電子線描画」「スパッタリング技術」などがあります。 これらのことを「微細加工装置」と呼んでおり、それらを使ってナノ・マイクロメートルサイズの構造を作り出すことを 「微細加工技術(マイクロマシニング)」と言います。この微細加工技術によって、画像のような非常に小さな構造を作製できます。 当研究室では、このような微細加工技術を用いて、光メタマテリアルを作製し、新しい機能をもった光材料の開発を行っています。

トポロジカルフォトニクス

トポロジカルフォトニクスとは、トポロジーと呼ばれる概念を用いたナノフォトニクスの研究分野のことです。 トポロジーとは、「やわらかい幾何学」とも呼ばれる数学の分野のひとつで、物の形の詳細に注目せず、その形がもつ特徴に着目します。 トポロジーという分野の特徴を表す例として良く説明されるものに、ドーナツとマグカップの例があります。 トポロジーでは、連続変形によって一致するものは”同じ”と考えるため、ドーナツとマグカップは”同じもの”と考えます。 このように直感と異なる概念を用いるトポロジーが、現実の物質と特性を理解するのに役立つことが発見されました。そのひとつがトポロジカル絶縁体です。 トポロジカル絶縁体は、表面では電気が流れるのに、中身には電気が流れないなど、非常に面白い性質をもちます。 このようなトポロジーの概念は、ナノフォトニクスにも適用でき、トポロジカル絶縁体のような面白い性質を発現することがわかってきており、新しい光機能が実現できるのではと期待されいます。

非エルミートフォトニクス

従来の物性物理(固体物理)では、エルミート系と呼ばれる、エネルギーの保存した系を対象に行われてきました。 一方、近年、エネルギーが保存しない「非エルミート系」と呼ばれる物理系において、エルミート系にない現象が発現することが知られ興味をもたれています。 実は、ナノフォトニクス構造は元々、この非エルミートな性質をもっており、非エルミート物理を実現する舞台として注目を集めています。 また、ナノフォトニクス系では、非エルミート系によって実現される特徴的な現象(例えば右から光を入れた時と左から光を入れた時で応答が異なる等)を光機能として応用につなげやすいことからも盛んに研究されています。

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